大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和29年(う)259号 判決

論旨は、本件二十五万円中十一万八千五百九十二円を控除した金額は実費弁償として交付したものであるから、公職選挙法第百九十七条の二の規定を適用すべきである旨主張する。しかし、実費弁償として交付したものでないこと既に前叙説明のとおりであつて、論旨はその前提を欠くものである。のみならず、公職選挙法第百九十七条の二にいわゆる選挙運動に従事する者とは、その立法趣旨に鑑み、適法なる選挙運動に従事する者をいうのであつて、投票買収の如き不適法なる選挙運動に従事する者を包含しないと解するのを相当とする。けだし、同法条の趣旨は交通費、宿泊費、弁当料等の実費弁償の額に基準を定めてこれを正当な選挙運動費用と認め、選挙の公明化に資したものであるから、これを不法な選挙運動に従事する者にまで及ぼして保護すべき限りでないからである。

(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!